どうで死ぬ身の一踊り

純文学のようだから「難解」「読みにくい」を覚悟していたが、あにはからんや、まったく逆だった。国語辞典に何度か当たって自らのムチを確認することはあっても、話そのものはわかりやすく興味の抱ける者だった。信奉する大正時代のほとんど無名の作家へののめり込みと女性との家庭生活が破綻に至る過程はいずれもなまなましく語られるさまは、純文学よりも娯楽小説に近い。同棲中の女性とのやりとりはかつての東映映画や日活映画なのだ。こんなに面白いとは思わなかった。『おすすめ文庫王国2009』第1位は仕方がない。

どうで死ぬ身の一踊り (講談社文庫)

どうで死ぬ身の一踊り (講談社文庫)

つぎは第2位の『絲的メイソウ』を読むことにする。

絲的メイソウ (講談社文庫)

絲的メイソウ (講談社文庫)